え〜、学生落語を一席
(2000/12/25)
落研OBが寄席開設
 |
| あぐらをかいたり、弁当を食べたり・・・・・・。思い思いの格好でくつろぐ客席から、時折聞こえる「クスクスクス」という笑い声 |
「てぇへんだ、てぇへんだ」。威勢のいい江戸っ子の言い回しに、クスクスという笑い声。ここは「コトニ寄席」、札幌圏の大学の落語研究会の晴れ舞台だ。緊張して汗をかきかき落語を演じる学生と、弁当を食べ、紫煙をくゆらせながら演台を見つめるお客さん。北海道ではなじみ薄い落語だけれど、意外と楽しそう!? では、ちょっとした“人情噺”(ばなし)のはじまり、はじまり――。
西区八軒の「レッドベリースタジオ」。ここで毎月1回、夕食をとりながらの「学生落語を楽しむ会」ができたのは、今月19日のこと。西区の情報を紹介するホームページの開設者で、フリーライターの門脇啓二さん(46)の呼びかけだった。
1回目は、北大、札幌大、酪農学園大の3大学の落語研究会の5人が出演。夜6時30分の開演ギリギリに到着すると、すでに十数人のお客さんが座布団を敷いたフローリングに座っていて、お茶やビールを飲んだり、弁当を食べたりしながら待っていた。
◇
太鼓や三味線、笛などで奏でる「寄席囃」(ばやし)が流れる中、和服をまとい、扇子を片手にいっぱしの落語家の装いで登場したトップバッターの男子学生。芸名を「会長亭大丸」と名乗る。緊張で顔をこわばらせた第一声は、「えー、あのー、お金をいただいて落語を聞かせるのは初めてでして……」。
「よっ、大丈夫か」とやじが飛ぶ。はじめはコチコチだった大丸も次第に慣れてきたのか、中盤からは素人目にも噺にキレが出てきたように見える。何でも知ったかぶりをする男が主人公の「やかん」を演じ終え、深々と礼をして下がる大丸に、温かい拍手がわき起こった。
客は飲み食い あたたか“笑援”
 |
| 「ちょいと、お前さん」。花魁(おいらん)が主人公の噺の世界に入り込んで熱演する「望波亭津那海」こと木村さん |
中入りを挟み、5人の“芸人”が演じ終えるころには、缶ビールやカップ酒を片手に持ったお客さんの顔に笑みがいっぱい。「望波亭(ぼうはてい)津那海(つなみ)」の芸名で4番目に登場した札幌大外国語学部2年の木村幸子さん(19歳)も「緊張したけど、楽しみながらできたから70点かな」と満足げだった。
◇
北大水産学部にいた時、落語研究会に所属していたという門脇さん。「自分のころは、お客さんに見てもらう機会がなかったから」というのが、コトニ寄席を始めるきっかけという。
「プロじゃないから、学生落語はつまらないと思われがちだけど、技術は下手でも、面白い子もいるよ」と門脇さん。「人前にどんどん出て腕を上げてほしい。お客さんは、学生落語“を”楽しむのではなく、ゆっくりくつろぎながら、学生落語“も”楽しんでもらったらいい」と優しさをにじませた。かと思うと、「うまい飯を食って、酒でも飲まなきゃ、笑ってあげられない時もあるでしょ」と、まるでいたずらっ子のような目をして続けた。こりゃあ、お後がよろしいようで。
*
次回は1月23日。会員制で、特製弁当付き2000円(入会金700円を含む。弁当不要の場合は1400円)。問い合わせは門脇さん(TEL011・613・7484)へ。 食わず嫌いでした
テレビ以外で落語を聞くのは初めて。これまでに何度か寄席に誘われたが、「古臭そう」という食わず嫌いの理由だけで、敬遠していた。
でも、演者を目の前にして聞いてみると、結構楽しくて、何度も噴き出してしまった。必死に演じる学生と、温かく見守るお客さんとの一体感も心地いい。
次は仕事抜きで遊びに行こう。そして、缶ビールを片手に、思う存分笑ってみたい。
(成川 由貴子)
「街角編」は、今日で終了します |